気に入ったのか、それとも墓に隠れる場所がないからかなのかはわからないが、シミは紙の下に入った。
水滴を置いてみたが飲む様子はない。湿らしたティッシュペーパーにも関心がない。水はいらないんだろうか。
捕まえた時には左右の触角の長さが違っていたシミ。しかし急に触角の長さが同じになった。いったいどうやって再生したのか。触角の長さが同じになった後、触覚の切れ端のようなものが落ちているのを発見した。全長は約6ミリ。これが触角に関係したものだとすると、考えられるのは
1.短い方の触角が抜け落ちて新しい触角が生えた
2.短い方の触角だけ脱皮した
触角が猛烈な勢いで生えてこないと成り立たないので1はなさそう。となると触角だけ脱皮したのか? 落ちていた触覚の切れ端のようなものが中空なら「脱皮した」で間違いないだろうが、小さすぎてわからない。顕微鏡でもあればわかるかもしれないのだが。
昆虫の体の再生の話はよく聞くが、触角の再生の仕方は聞いたことがない。勝手にちょっとづつ伸びていくイメージを持っていたのだがどうなんだろう。
(→触角の再生)
あまりにも動きがない。死んだのかと思ったがそうではなかった。環境がシミにとっては明るすぎるのかもしれないのでティッシュペーパーの箱の上面と側面を切り取ったものを作ってみた。これに飼育箱を入れれば多少暗くなる。観察しにくくはなるが仕方ない。
パンを食べている時は警戒心が薄れるらしいので、その隙に体長をはかってみることにした。紙に 1mm の目盛りをつけたものをそっと置いてみる。体長は約 11mm あり、成虫と思われる。寿命はあとどのくらいあるんだろうか。
動物性たん白質も必要かと思い、かつおぶし削りぶしを与えてみた。中央付近を 1mm 幅ぐらいの大きさでかじった跡が見られた。
ちなみに「かつおぶし削りぶし」はその重量の90%以上がたん白質という高たん白食品である。
コーンフレークを与えてみた。空気中の水分を多少は吸うのではないかと思い、二日ほどパッケージから出して置いておいたものだ。少しは湿ったのだろうが思ったほどではなかった。
で、そのコーンフレークであるが、シミは1時間以上かじりついていた。時間は長かったものの、食べ跡はよくわからなかった。コーンフレークはシミにとって少々硬いらしい。ティッシュペーパーがあるのに硬いコーンフレークに長時間かじりついていたところを見ると、少なくともティッシュペーパーよりは好きなのだろう。この分だと味付けしてないポップコーンも好きかも知れない。
シミが脱皮した。ちょっと驚いた。脱皮することは知ってはいたものの、こんなにあっさり脱皮するとは思わなかったからだ。これでは値打がない。
脱皮後の体長は約13mmとなり、脱皮前とくらべて2mmほど大きくなった。
脱ぎ捨てられた皮は約9mm。少し縮んだのは抜け出る時に腹部がしわしわになったせいかもしれない。皮をよく見ると背中の部分が縦に割れており、頭はヘルメットを脱ぐような感じで抜け出たようだ。触角と尾毛は半透明の中空っぽいが、先の方だけは黒い。
ここのところ隠れ家に隠れていることが多かったのは脱皮が近かったせいだったのだろうか。
(写真の右上が脱ぎ捨てられた皮)
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